3章  事前調査

建設リサイクル法で定められた対象建設工事の実施に際しては、作業場所、搬出経路、残存物品の有無、付着物の有無、その他に関する事前調査を行わなければなりません。事前調査は適切な工事計画や工事費用の見積もりを立てるためにも不可欠です。また、適切な工事費の見積りは、廃棄物等の適正処理を行うためにも重要です。

(解説)

(1)事前調査の目的

建設リサイクル法では、対象建設工事における、事前調査や分別解体等の施工方法に関する基準等が定められています。

事前調査は、分別解体に必要な調査である位置付けのほか、以下においても有用な情報となります。

@解体工法の選定、使用機械、所要人員、工程の決定

A建設廃棄物の発生量の予測及び工事費の算出

B解体工事の安全確保

(2)事前調査の実施

建設リサイクル法では、発注者による都道府県知事への対象建設工事の届出は工事に着手する日の7 日前までに行わなければならないと定めています。事前調査の後には工事計画の立案、積算・見積、事前準備も行う必要があるため、事前調査は目安として工事着手の2 週間くらい前に余裕を持って行う必要があります。

2.1 事前調査の内容

事前調査の内容は、以下のものがあります。

(1)対象建築物の設計図書等の有無の確認

(2)対象建築物の確認

(3)周辺状況の確認

(4)作業場所の確認

(5)搬出入経路の確認

(6)残存物品の有無の確認

(7)再資源化施設等の確認

(8)特定建設資材に付着したものの有無の確認、その他対象建築物等に関する調査

(例:有害物質等の有無の確認)

(解説)

(1)対象建築物の設計図書等の有無の確認

建設リサイクル法により、対象建設工事の届出には、建築物等の設計図または現状を示す明瞭な写真を添付することが必要とされています。発注者に対して、事前に対象建築物の設計図書(図面と仕様書)、確認申請書類、電気配線図等と増築改築等の履歴がわかる図書の有無を確認します。

なお、石綿含有建材については、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則(以下「石綿則」という。)により、発注者は工事の請負人に対して、建築物等における石綿等の使用状況等(設計図書等)を通知するよう努めなければならないとされています。

対象建築物の設計図書等は、建設廃棄物の発生量を正確に把握するため必要です。

このため、設計図書等がない場合は、解体建築物等の各種図面を作成することが望まれます。

これにより適正で妥当な解体工事の費用の見積りが容易となります。また、発注者に対し、十分な情報をもとに説明することが出来ることから、発注者が適正な費用負担と判断するのに役立ちます。

(2)対象建築物の確認

@対象建築物(解体する建築物)の構造、規模、高さ、階数、基礎工法建築物の規模、高さ、階数、構法、基礎工法、内外の仕上材等について確認します。また、建築物に付随する門扉、塀、ポーチ、テラス、物置、カーポート、浄化槽、便槽等の敷地内の工作物及び植栽等について調査し、確認します。

A解体(撤去)の対象範囲

解体工事の範囲が、どこまで含まれるか明確にしておきます。

B対象建築物以外の建築物等の欠損状況(陥没・ひび割れ等)

対象建築物以外の建築物や付帯施設について事前にひび割れや陥没等の箇所を調査し、状況を写真等で記録します。

(3)周辺状況の確認

@周辺環境・近隣状況の把握

解体工事が周辺へ及ぼす振動、騒音、粉じん、悪臭及び交通障害等への影響を事前に把握しておきます。

A近隣施設の確認

病院、学校、幼稚園、老人施設、食品製造施設及び精密機械の設置施設等、工事の影響が及ぶと考えられる施設についてその位置・範囲等を調査し、確認します。

B隣接建物との距離

工法の選定、仮設・養生の方法等を検討するために隣接する建築物やその付帯施設との距離や高低差について調査し、確認します。

C近隣建築物等の欠損状況

事前に近隣の建築物等の水平・垂直方向の傾き、ひび割れ、汚れ等について調査し、状況を写真等で記録します。

(4)作業場所の確認

@分別等の作業スペース

建設資材廃棄物を品目別に分別し搬出するのに必要な作業スペースの有無を確認します。

A敷地内駐車スペース

敷地内の余地を調査し、重機、車両の保管、駐車スペース等について確認します。

B道路と敷地の関係

接道条件、高低差等を調査し、重機等の搬入、搬出車両のアプローチ等を確認します。

C地中障害物の有無

地中に埋設されている給排水管・ガス管等の引込み図を入手し、位置を確認するとともに浄化槽、枡等の有無を調査し、作業への影響の有無を確認します。

D地盤の強度・地質

地盤の強度や地質について調査し、重機の選択、近隣建築物の沈下や振動対策等に必要な事項を調査し、作業への影響の有無を確認します。

E空中障害物の有無

解体工事に障害となる、電線、電話線、樹木等を調査し、作業への影響の有無を確認します。

(5)搬出入経路の確認

@進入制限区域

解体工事現場から主要幹線道路まで、周辺の道路の一方通行、通行時間制限、車両規制、通学路、歩行者専用道路等について調査し、進入・搬入経路を確認します。

A交通量

工事中の車両や歩行者の誘導、警備員の配置、標識の掲示等について検討するために周辺道路の調査を行い、作業や進入搬出時の安全を確認します。

B障害物

ガードレール、標識等の公共設備の撤去が必要な場合の対策を検討するために調査を行い、撤去の要・不要を確認します。

特定家電製品については特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づき、その他については一般廃棄物として処分するよう、発注者に対し依頼します。

(6)残存物品の有無の確認

対象建築物に残存する、家電リサイクル法で定められた特定家電製品であるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機や家具、その他の家電品等の有無を確認します。

なお、これらの残存物品は、発注者(所有者)により処分されなければなりません。

表2-1 主な残存物品

特定家電 壁掛けエアコン(室内機、室外機)、テレビ、冷蔵庫、洗濯機(2007年3 月現在)

家電製品 照明機器、ステレオ、ラジオ、掃除機等

家 具 食器棚、机、椅子、下駄箱、本棚、ベッド等

敷 物 類 カーペット、ござ等

台所用品 ガスレンジ、卓上湯沸し器、食器類、ポリバケツ等

生活用品 布団類、本類、衣類、カーテン等

(7)再資源化施設等の確認

再資源化等に要する費用を適切に把握するために、特定建設資材廃棄物及びその他の建設廃棄物の搬出先予定である再資源化施設等までの搬出距離、処分費等を調査し、確認することが望まれます。

以下のサイトからも建設廃棄物処理施設を検索し調べることができます。

(社)全国産業廃棄物連合会

http://www.zensanpairen.or.jp/

(財)産業廃棄物処理事業振興財団

http://www.sanpainet.or.jp/

(財)日本建設情報総合センター

http://www.recycle.jacic.or.jp/

(8)特定建設資材に付着したものの有無の確認、その他(有害物質等)の有無の調査

対象建築物等に用いられている特定建設資材に吹付け石綿等の付着物がないかどうか、対象建築物等に有害物質を含む建設資材等(石綿含有建材、CCA 処理木材、ヒ素・カドミウム含有石膏ボード、PCB、フロン等)が含まれていないかどうか確認します。

<有害物質等は、各種の法律により取り扱い等が規制されています>

それぞれの有害物質等には、下記のような法律が適用されます。これらの法律も遵守して事前調査・事前措置・施工・廃棄物処理することが必要となります。

*病院や研究所等で、放射性廃棄物や、感染性廃棄物が発生することがあります。これらの廃棄物の大半は、一般には残存物品であり、発注者が事前に処理すべきものです。

・アスベスト関連:労働安全衛生法・大気汚染防止法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

・PCB関連:ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB廃棄物特別措置法)

廃棄物処理法
・フロン:特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策法)

・特定家電:家電リサイクル法・廃棄物処理法

・その他:廃棄物処理法

注) ( )内は、略称

<付着物・有害物質等の例>

特定建設資材の付着物(※1) 事前措置が必要なもの 分別解体等が必要なもの

飛散性

(準ずるものを含む)

吹付け石綿

石綿含有吹付けロックウール

石綿含有断熱材

石綿含有珪酸カルシウム板(2 種)

(耐火被覆板)

配管保温材

石綿

非飛散性 ビニール床タイル

石綿セメント板 (※2)

石綿含有珪酸カルシウム板

押出成形セメント板

住宅屋根用石綿セメント板

住宅外壁用石綿セメント板

その他の付着物

吹付けロックウール

パーライト吹付け

打込み木毛セメント板

打込み木片セメント板

打込み発泡ポリスチレン板

吹付け発泡ウレタン

その他

PCB 含有物(廃PCB・PCB 汚染物を含むもの)

冷凍機冷媒フロン

冷凍機冷媒臭化リチウム

蓄電池

蛍光灯

屋根ふき材

砒素・カドミウム含有石膏ボード

その他の内装材

(※1)建設リサイクル法で事前除去が義務付けられている付着物

(※2)解体・改修工事等により飛散するおそれがある場合は事前措置が必要

木造建築物等(低層建築物)に使用されている主な有害物質等は、以下に示すとおりです。

※ 巻末に一部有害物質の取扱いについての詳細を示しています。

CCA処理木材

●土台・大引き・浴室・台所水回り石綿含有建材(非飛散性アスベスト)

●石綿セメントサイディングボード(外壁)

●けい酸カルシウム板第一種石綿含有建材(非飛散性アスベスト)

●石綿スレート(天井・壁)

●石綿含有ロックウール吸音天井板等

●石綿スレート板OP

●ビニール床タイル石綿含有建材(非飛散性アスベスト)

●住宅屋根用化粧スレート残存物品

●家具・家電製品・台所用品・敷物類・生活用品等残存物品

●特定家庭用機器(エアコン)砒素・カドミウム含有石膏ボード

●石膏ボード