4章  工事の計画等

3.1 解体工法の選定

3.2 解体工事計画

事前調査の結果を踏まえ、解体工事の計画を考え、計画書・工程表を作成します。また、発注者へは、工事開始前に「分別解体等の計画等」を書面で提出し、説明しなければなりません。

(解説)

解体工法を選定する際には、各解体工法の特徴を熟知したうえで、事前調査に基づき、施行規則に従った分別解体工法を選定します。

分別解体工法の選定に必要な主な情報は表3.1-1 のとおりです。

表3.1-1 分別解体工法の選定に必要な主な情報

環境条件 現場周辺の構造物、住民及び道路・交通状況等の情報

建物条件 解体対象物件の構造、面積、使用建築資材、損傷や劣化の程度、使用条件等の情報、付着物の有無

敷地条件 敷地の広さ、高低差、形状等の情報

労働条件 労働力の確保及び作業能力等の情報

調達条件 解体機器、仮設資材その他調達等の情報

処理条件 産業廃棄物の法規制、再資源化等の情報

再資源化等及び収集運搬条件

特定建設資材廃棄物及びその他の建設廃棄物の種類、発生量、分別、積込時間、処理施設までの距離の情報

規制条件 交通、道路、公害に関する法規制等の情報

契約条件 工事予算、支払方法、工期等の情報

一般的に採用されている手作業・機械作業併用による分別解体工法は、建設リサイクル法で再資源化等が義務付けられている特定建設資材廃棄物について、再資源化等の推進が可能な解体技術レベルに達しています。

特定建設資材廃棄物以外の建設廃棄物についても分別の品目(種類)を増やし、その精度を向上させることが望ましいことから、手作業・機械作業併用による分別解体工法を選定する場合にも、このことを考慮したうえで選定することが肝要です。

建設リサイクル法で定められた分別解体工法には、「手作業による分別解体工法」と「手作業・機械作業併用による分別解体工法」があり、施行規則に従い適切な分別解体工法を選ばなければなりません。

解体工事計画は、工事工程、解体工法、機械・車両の選定、特定建設資材廃棄物の再資源化等、建設廃棄物の分別方法、労務の配分、その他解体工事に関する一連の事項について事前調査の結果により得られた条件とその他必要な事項に関する条件に基づいて総合的に計画するもので、解体工事を安全、適正かつ円滑に進めるために不可欠です。

(解説)

解体工事計画は、工事工程、解体工法、機械・車両の選定、特定建設資材廃棄物の再資源化等、建設廃棄物の分別方法、労務の配分、その他解体工事に関する一連の事項を総合的に計画するものです。

(1)準備作業計画

準備作業は、解体作業を安全かつ円滑に遂行するために解体工事の前に行う不可欠な作業です。準備作業計画の立案は、事前調査の実施時期と同時又はその直後に行うと、他の計画と連携させることが可能となり工事が円滑に進むことになります。したがって、準備作業計画は、事前調査の情報をもとに立案し、必要に応じた処理や対策を計画することになります。計画の立案は、表3.2-1 に示す条件とその他必要な事項に関する条件を踏まえて行います。

表3.2-1 準備作業計画の立案に必要な主な情報

近隣条件 解体工事の影響を受ける周辺の住民、病院、学校、精密機器工場等、騒音、粉じんの影響を大きく受けることが予想される施設についての情報から、必要に応じて適切な対策を計画します。

障害物条件 工事を安全かつ円滑に遂行するための不可欠な情報です。この情報をもとに工事着手前に取るべき必要な処理や対策を計画します。

引込配管等に関する情報

・ガス、水道、下水道等について、所定の処理がなされているか否かの確認を行い、未処理の場合の対策を計画します。

架線等に関する情報

・電線、電話線等の架線で、工事に影響を及ぼすおそれのある場合の対策を計画します。

・道路上の障害物等に関する情報

・ガードレール、標識等の公共設備の撤去が必要な場合の処理・対策を計画します。

・樹木、塀、地中障害物等に関する情報

・撤去、移動、保護、残置等の情報をもとに、その処理・対策を計画します。

規制・交通等の条件

道路使用を行う場合等に関する許可・届出、交通誘導員の配置、第三者に対する安全等の処置や対策を計画します。

(2)仮設計画

仮設とは、解体工事を安全かつ円滑に行うための一時的に設置する施設・設備です。仮設計画は、解体対象物の形状、規模、敷地条件により異なりますが、基本的に安全性、経済性及び効率性を考慮し作成します。

仮設計画には以下のようなものが含まれます。

@足場計画

足場は、解体工事における、安全確保、騒音、粉塵及び飛散物による被害を防止するための重要な役割を持っています。外壁材、屋根ふき材に石綿含有建材の使用が認められる場合は、不可欠なものとなります。

十分な安全性と強度を考慮し計画を立案します。

○ア足場

足場の種類は表3.2-2 に示す2 種類があり、解体工事の条件、足場としての安全性・強度等を総合的に検討したうえで、足場計画を立案し、作成します。できるだけ単管一側足場あるいは枠組足場を使用した計画を作成します。また、足場の検討を行うときの配慮事項を表3.2-3 に示します。

表3.2-2 足場の種類

枠組足場 強度・安全性等は優れています。単管一側足場に比べて設置スペ−スが広くなります。

単管一側足場 枠組足場に比べて強度・安全性が低下しますが、狭いスペ−スでも設置が可能です。

表3.2-3 配慮事項

材 料 所要の強度を有したものを使用します。

構 造

作業の安全性が確保でき、かつ高い作業効率が期待できるものを使用します。具体的には、筋交い、壁つなぎ、控え、火打ち等で補強し、風雨等に十分な強度を確保します。

○イ養生シート・パネル

養生シート・パネルには、表3.2-4 に示す種類があります。計画は、解体にともなって発生する火気や騒音、粉じん等に適切に対応できるものを選定して作成します。

また、材料を選定するときの配慮事項を表3.2-5 に示します。

一般的な解体工事においては、防炎シートを使用します。

大きな騒音の発生が予想される場合には、防音シートまたは防音パネルを使用します。

表3.2-4 養生シ−ト・パネルの種類

防炎シート 一般的に使用されるシートで、ガス切断時の火花や熱の発生がともなう場合に使用します。

防音シート

比較的大きな騒音の発生が予想される場合や、近隣への騒音に対する特別な配慮が必要な場合に使用します。

防音パネル 騒音対策で、防音シ−ト以上の性能が要求される場合に使用します。

表3.2-5 配慮事項

材 料

風雨等による音の発生が少なく、かつ破れにくいものを使用します。破れ・汚れ等のないものとし、美観にも配慮することが望まれます。

Aその他の計画

解体する物件が、老朽化していたり、解体作業にともなう振動等により倒壊の危険性がある場合、補強工事計画を作成します。鉛直方向に崩落する危険性がある場合にはサポート類、水平方向に転倒する危険性がある場合には、筋交い等を使用します。

その他、車両・重機等の搬入・搬出作業の際に、道路の陥没、欠損等の恐れがある場合には、事前にその補強や修復等に関する計画書を作成します。

(3)解体作業計画

解体作業計画は、安全、工法、工期、予算、解体及び建設資材廃棄物の再資源化等及び適正処理にともなう環境負荷等にも大きな影響を及ぼします。したがって、事前調査の結果と(1)〜(6)項等で得られた情報等に基づき、適切な解体作業計画を立案します。

石綿含有建材、CCA 処理木材等がある場合は、除去の方法を検討し、解体作業計画に反映させます。

特に石綿含有建材については、石綿障害予防規則(石綿則)を遵守するよう以下の事項を盛り込みます。

@作業方法、順序

建築物全体の解体順序等を明らかにするほか、撤去する部位ごとの取り外し方法等を盛り込みます。

A粉じんの発散防止、抑制方法

撤去する石綿含有建材の種類、作業方法等に応じた適切な湿潤化(噴霧・散水、薬剤塗布等)を行います。

湿潤化することが困難な場合はその理由、適切な代替措置等を盛り込みます。

なお、有害物質に関する詳細事項は巻末の資料を参照してください。

(4)建設資材廃棄物の再資源化等・処理計画

@建設資材廃棄物の発生量の把握

事前調査の結果から、特定建設資材廃棄物を含めた品目ごとの建設資材廃棄物の発生量を把握します。

特に対象建設工事の場合、「分別解体等の計画等」に特定建設資材廃棄物の種類ごとの量の見込みを記載する必要があります。

建設資材廃棄物の発生量は再資源化等及び適正処理の費用について適正に契約に反映させることが必要であるため、より精度を高く予測することが望まれます。

また、石綿含有産業廃棄物、CCA 処理木材についても、適正処理を行うため、事前調査の結果から部位を特定し、発生量を算出する必要があります。

A建設発生木材の発生量の目安

木造住宅解体によって発生する木材量は、床面積1.0 u当たり85kg 程度であると考えられます。

一般的な木造住宅100〜130m2(30〜40 坪)を解体すると、木材はおおむね10t 程度発生します。

表3.2-6 に木造住宅の解体工事から発生する木材量の目安の一覧を示します。

解体木材発生量(t)≒0.085×延床面積(u)

表3.2-6 木造住宅の解体工事から発生する木材量の目安

延床面積(u) 木材量の目安(t) 延床面積(坪) 木材量の目安(t)

60 m2 5.1 10 坪 2.8

80 m2 6.8 20 坪 5.6

100 m2 8.5 30 坪 8.4

120 m2 10.2 40 坪 11.2

140 m2 11.9 50 坪 14.1

160 m2 13.6 60 坪 16.9

180 m2 15.3 70 坪 19.7

200 m2 17.0 80 坪 22.5

上表に示す発生木材量のうち約50%は比較的しっかりとした構造部材で断面積が50cm2 程度以上のものです。

B再資源化等・処理計画

対象建設工事の場合、特定建設資材廃棄物であるコンクリート塊、建設発生木材、アスファルト・コンクリート塊は再資源化等を実施しなければなりません。(なお、指定建設資材廃棄物である建設発生木材の場合、一定の条件を満たせば縮減(焼却等)で足りることとなっています。)

また、対象建設工事、特定建設資材廃棄物を問わず、それ以外の建設工事等、それ以外の建設資材廃棄物についても、できる限り再資源化等を実施することが望まれるとともに、再資源化が困難な建設資材廃棄物については適正処理を実施することが重要です。

再資源化等及び適正処理を実施するために、他の者に処理を委託するときは、産業廃棄物処理業者を選定しておく必要があります。

(5)分別・搬出計画

特定建設資材廃棄物に指定されている建設発生木材やコンクリート塊は、品目別に分別し、搬出する計画を立案しなければなりません。また、それ以外の建設資材廃棄物も、金属くず等の再生可能品をはじめ、可能な限り品目別に分別し、搬出する計画を立案することが望まれます。

木造建築物等の低層建築物の解体工事においては、敷地が狭隘な場合もあるため、解体工事と並行して特定建設資材廃棄物及び建設資材廃棄物を搬出することもあります。このため、搬出方法の適否は、解体工事の進捗等に大きな影響を与えます。したがって、対象建設工事受注者は、積載及び搬出の際の効率向上等を考慮し、分別・搬出計画を適切に立案することが必要です。

(6)安全及び環境保全計画

対象建設工事受注者は、法令に基づき統括安全衛生責任者等の選任を行う等、必要な安全管理体制を整えなければなりません。

解体工事にともなう足場、作業床、通路等の作業設備、安全設備については、個々の設備の安全性の確保を図るとともに、騒音・振動・粉じん・悪臭等の環境保全に関する事項について、総合的な検討を加えた計画を立案し、それを計画書として作成します。

3.3 工程計画の立案及び工程表の作成

解体工事を初期の計画どおりの工期内に完了させるためには、事前調査及び解体工事計画と連携させながら工程計画を立案します。また、天候等の影響も見込んでおかなければなりません。

(解説)

解体工事を計画どおりの工期内に完了させるために、天候等の影響も考慮しつつ工程計画を立てます。

延床面積30〜40 坪程度の木造建築物等の解体工事においては、2 週間程度が目安となります。工程表の例を表3.3-1 に示します。

3.4 「分別解体等の計画等」の作成

建設リサイクル法の対象建設工事において受注者は、立案した「分別解体等の計画等」について、書面により発注者に説明しなければなりません。

なお、発注者が都道府県知事へ届出する様式を活用して、上記書面を作成しても差し支えありません。

(解説)

分別解体等の計画等に記載が必要な項目は以下のとおりです。

@建築物等の構造

A事前調査の結果(建築物等の状況、周辺状況、作業場所の状況、搬出経路の状況、残存物品の有無、特定建設資材に付着したものの有無、その他)

B事前措置の内容(作業場所の確保、搬出経路の確保、残存物品の搬出の確認、付着物の除去、その他工事着手前における特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するための措置)

C工事着手の時期

D工程ごとの作業内容及び分別解体の方法(当該方法が定められた順序により難い場合はその理由)

step1 建築設備・内装材等、step2 屋根ふき材、step3 外装材・上部構造部分

step4 基礎・基礎ぐい、step5 その他

E解体工事の順序(当該順序が定められた順序により難い場合はその理由)

F建築物に用いられた建設資材の量の見込み

G特定建設資材廃棄物の種類ごとの量の見込み、及びその発生が見込まれる対象建築物の部分