解体用建設機械

参考資料

車両系建設機械の解体機械  
車両系建設機械の各部の名称  

 

平成25年7月1日から、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機(以下「鉄骨切断機等」という)は、労働安全衛生法令(安衛法令)上の車両系建設機械の解体用機械として、規制の対象となっています。

これまで鉄骨切断機等は車両系建設機械には該当せず、安衛法令は適用されませんでしたが、休業4日以上の死傷災害が年間100件以上も発生しており、死亡災害等の重篤な災害も起こっていることから、対象とすることとしました。

改正労働安全衛生規則(安衛則)の改正のポイントをまとめましたので、鉄骨切断機等の車両系建設機械の安全な使用のためにお役立てください。

鉄骨切断機等は、安衛法令による解体用機械として次の義務がかかります。

(1)新たな解体用機械の就業制限については、所要の経過措置を設ける。

(2)25年7月1日以降に製造手配したものは改正構造規格の対象となる。

(3)解体用機械とは、ブレーカ及び鉄骨切断機等をいう。

労働安全衛生法(以下「法」という。)及び関係政省令等により、解体用機械については、上の表の(1)から(7)について次の措置が必要です。

(1) 機械等貸与者(リース業者)は、貸し出すに際しあらかじめ、点検、整備を実施(法33条)

(2) 厚生労働大臣が定める構造規格を具備しないと、譲渡、貸与等を禁止(法42条)

(3) 定期自主検査(1年以内、1月以内ごと)を実施(法45条第1項)

(4) 1年以内ごとに行う定期自主検査は一定の資格者が実施(特定自主検査、法第45条第2項)

(5) 3トン以上の機体重量の機械の運転の業務は、技能講習の修了者以外は禁止(法61条)

(6) 3トン未満の機体重量の機械の運転の業務に就かせるときは特別の教育を実施(法59条第3項)

(7) その他使用上の規制の履行(安衛則第2編第2章第1節)

上の(2)の厚生労働大臣が定める構造規格(車両系建設機械構造規格)の主な内容は次のとおりです。(下線部が今回の改正条文)

強度(1条)、安定度(2条、3条、4条)、走行用ブレーキ(5条)、作業装置用ブレーキ(6条)、運転に必要な視界等(9条)、アーム等の昇降による危険防止設備(11条)、警報装置(13条)、作業範囲を超えたときの自動停止装置等(13条の2)、安全弁等(14条)、表示(15条)

上の(7)のその他使用上の規制(安衛則)の主な内容は次のとおりです。(下線部が今回の改正条文)

1) 構造  前照燈(152条)、ヘッドガード(153条)

2) 使用  地形等の調査及び記録(154条)、作業計画(155条)、転落等の防止等(157条、157条の2)、接触の防止(158条)、合図(159条)、主たる用途以外の使用の制限(164条)、修理等(165条)、アタッチメントの倒壊等による危険の防止(166条の2)、アタッチメントの装着の制限(166条の3)、アタッチメントの重量の表示等(166条の4)、定期自主検査(167条、168条)、使用の禁止(171条の4、171条の5)、立入禁止等(171条の6)

改正のポイント1〔構造関係〕

事業者の皆さまへ

1 ヘッドガード(安衛則第153条)

岩石の落下等(鉄骨切断物を含む。)により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で解体用機械を使用するときは、堅固なヘッドガードを備えたものを使ってください。

2 転倒時保護構造及びシートベルト(安衛則第157条の2)

路肩、傾斜地等で転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で解体用機械を使用するときには、転倒時保護構造を有し、かつシートベルトを備えたもの以外の機械を使用しないよう努めてください。 また、運転者にはシートベルトを使用させるよう努めてください。

補足事項

(1) 1、2の措置とも、解体用機械に限らず車両系建設機械 全般を対象に課していますが、1は義務、2は努力義務です。

(2) 2に関しては、路肩、傾斜地等での転倒、転落防止のための誘導者の配置や路肩の崩壊防止等の措置も徹底してください。(安衛則第157条)

3 運転室のない解体用機械の使用禁止(安衛則第171条の5)

物体の飛来等により運転者に危険が生ずるおそれのあるときは、運転室を有しない解体用機械を用いて作業を行わないでください。(ただし、物体の飛来等による危険の防止措置を講じた場合を除きます。)

補足事項

危険の防止措置は、次の例があります。

(1) アタッチメント自体への覆いの取付け

(2) 物体の飛来又は激突の強さに応じた防護設備の取付け

(3) 物体の飛来の強さが十分弱い場合、顔面の保護面を有する保護帽等の使用

製造者の皆さまへ

4 運転に必要な視界等(運転室の飛来物防護設備)(構造規格第9条)

鉄骨切断機及びコンクリート圧砕機の運転室には、その前面に、物体の飛来による危険を防止するための設備を備えてください。

車両系建設機械(ブレーカを除く。)の運転室 安全ガラス
ブレーカの運転室 安全ガラス  or 飛来物防護設備
鉄骨切断機又はコンクリート圧砕機の運転室 安全ガラス+飛来物防護設備
解体用つかみ機の運転室 安全ガラス
運転室のない解体用機械 アタッチメントの覆い、飛来物防護設備又は保護具

改正のポイント2〔アタッチメントを交換できる車両系建設機械(解体用機械に限りません)の使用関係〕

事業者の皆さまへ

1 修理、アタッチメント交換時の措置(作業指揮者)(安衛則第165条)

車両系建設機械の修理又はアタッチメントの装着又は取り外しの作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に、ブーム等の降下による危険を防止するための安全支柱、安全ブロック等(第166条)及びアタッチメントの倒壊等による危険を防止するための架台(安衛則第166条の2)の使用状況を監視させてください。

2 アタッチメントの倒壊等による危険の防止(安衛則第166条の2)

車両系建設機械のアタッチメントの装着又は取り外しの作業を行うときは、アタッチメントが倒壊すること等による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に架台を使用させてください。

補足事項

(1) 架台は、専用の架台に限らず、敷角等アタッチメントの倒壊等を防止できるものであれば可。

(2) 安定的に地面に置くことができるアタッチメントにまで架台の使用を義務付けているものではありません。

3 アタッチメントの装着の制限(安衛則第166条の3)

車両系建設機械には、その構造上定められた重量を超えるアタッチメントを装着しないでください。

4 アタッチメントの重量の表示等(安衛則第166条の4)

アタッチメントを取り替えたときは、運転者の見やすい位置にアタッチメントの重量(バケット、ジッパー等を装着したときは、当該バケット、ジッパー等の容量又は最大積載重量を含む。)を表示し、又は当該車両系建設機械に運転者がアタッチメントの重量を容易に確認できる書面を運転席周辺の容易に取り出せる場所に備え付けてください。

補足事項

(1) アタッチメントには、鉄骨切断具、コンクリート圧砕具、解体用つかみ具、ブレーカユニット、バケット、ジッパーが含まれます。

(2) 「バケット、ジッパー等」の「等」には、「解体用つかみ具」が含まれ、その場合は最大積載重量は、最大持上げ重量を示します。

(3) 平成25年6月30日までに譲渡等された機械について、その機械を譲渡等した者は、相手方の求めに応じてアタッチメントの重量の情報を提供する必要があります。

(4) アタッチメント自体にも同様の表示を行うことが望ましいものです。

製造者の皆さまへ

5 取り替えられるアタッチメントへの表示等(構造規格第15条第3項)

取り替えられるアタッチメントを有する車両系建設機械は、製造者名等の事項に加え、運転者の見やすい位置に当該アタッチメントの重量及び装着することができるアタッチメントの重量が表示されているか又は運転者がアタッチメントの重量を容易に確認できる書類が備え付られているものとしてください。(※容易に確認できる書類とは、取扱説明書のような厚いものでなく、アタッチメントの重量をすぐ確認できる1枚程度のものです。)

改正のポイント3〔解体用機械の使用関係〕

事業者の皆さまへ

1 地形等の調査及び記録(安衛則第154条)

解体用機械を用いて解体作業を行うときは、転落、転倒による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形等(地盤の強度、傾斜等を含みます。)の状態等を調査し、その結果を記録してください。

2 作業計画(安衛則第155条)

解体用機械を用いて作業を行うときは調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、その作業計画により作業を行ってください。作業計画には、機械の種類及び能力、運行経路、作業方法(機械の位置や立入り禁止区域等を含む。)を示すとともに、関係労働者に周知してください。

3 主たる用途以外の使用の制限(安衛則第164条)

解体用機械のアタッチメントにワイヤロープをかけて荷のつり上げ作業を行う等解体用機械の主たる用途以外の用途に使用しないでください。

4 定期自主検査(安衛則第167条及び第168条)

解体用機械については、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行ってください。
この場合、その検査(特定自主検査)は検査業者又は一定の資格者に行わせてください。
また、1月以内ごとに1回、定期に、自主検査を行ってください。

5 立入禁止等(安衛則第171条の6)

解体用機械を用いて作業を行うときは次の措置を講じてください。

(1) 物体の飛来等により労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に運転者以外の労働者を立ち入らせないこと。

(2) 強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業を中止すること。

補足事項

(1) この立入禁止の範囲は、物体の飛来に加え、解体用つかみ機によりつかんだ物やアタッチメントに激突されるおそれのある範囲も含まれます。カラーコーン等で区分けしてください。

(2) 解体用機械の誘導者も立入禁止区域への立入りは禁止されます。飛来等のおそれのある区域外から誘導するようにしてください。

改正のポイント4〔長い作業装置を有する解体用機械関係〕

事業者の皆さまへ

1 1月以内に実施する定期自主検査の項目の追加(安衛則第168条)

解体用機械のうちブーム及びアームの長さの合計が12メートル以上である機械(以下「特定解体用機械」という。)については、1月以内ごとに定期に、操作装置、作業装置等の異常の有無に加え、逆止め弁、警報装置等の異常の有無について、自主検査を実施してください。

補足事項

(1) 逆止め弁は、油圧ホースの損傷等により油圧が急激に低下したときにブームの急降下を防止するための弁でブームシリンダーの下部に備えられます。1月以内の検査では、油漏れの有無をチェックします。

(2) 警報装置は、作業範囲を超えてブーム等が操作されたときに警音を発する装置のことです(下記4の警音を発する装置)。作業範囲を超えた時に作動するかをチェックします。

(3) 「警報装置等」の「等」には、自動停止装置、ブーム角度計、水準器が含まれます。これらが、正常に作動するかをチェックします。

2 傾斜地等での使用の禁止(安衛則第171条の4)

路肩、傾斜地等であって、「特定解体用機械」の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれがある場所では、特定解体用機械を用いて作業を行わないでください。

補足事項

(1) 「労働者に危険が生ずる場所」には、傾斜角が5度を超える傾斜地、岩石、根株等があって転倒等のおそれのある場所が含まれます。

(2) 補強やガードレールを設置した路肩、必要な広さ及び強度を有する鉄板の敷設や締め固めを行った地盤は、「労働者に危険が生ずる場所」には含まれません。(安衛

則第157条、第157条の2も同様です。)

製造者の皆さまへ

3 前方安定度(構造規格第4条第5項)

特定解体用機械は、ブーム及びアームが向けられている側の転倒支点における安定モーメントの値をその転倒支点における転倒モーメントの値で除して得た値が1.5以上である前方安定度を有するものとしてください。

4 作業範囲を超えたときの自動停止装置等(構造規格第13条の2)

特定解体用機械で作業範囲を超えてブーム又はアームが操作されるおそれのあるものは、作業範囲を超えてブーム及びアームが操作されたときに、起伏装置等の作動を自動的に停止させる装置又は警音を発する装置を備えているものとしてください。

5 安全弁等(構造規格第14条第2項)

油圧を動力として用いる特定解体用機械の起伏装置等は、当該油圧の異常低下によるブーム及びアームの急激な降下等を防止するための逆止め弁を備えているものとしてください。

改正のポイント5〔鉄骨切断機等の運転業務関係〕

事業者の皆さまへ

1 3トン以上の鉄骨切断機等の運転の業務に就くことができる者(安衛則別表第3)

3トン以上の鉄骨切断機等の運転は、平成25年7月1日以降に開始される車両系建設機械(解体用)運転技能講習を修了した者等に行わせてください。

2 3トン以上の鉄骨切断機等の運転の業務に引き続き就くことができる者(平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、安衛則改正省令附則第3条第1項)

[1]改正前の解体用技能講習(ブレーカに係る技能講習)を修了した者、

[2]平成25年7月1日時点で、鉄骨切断機等の運転の業務に従事しており、かつ、当該業務に6月以上従事した経験を有する者は、平成26年6月30日までの間は、引き続き鉄骨切断機等の運転の業務に就くことができます。

3 3トン以上の鉄骨切断機等の運転の業務に就くことができる者(平成26年7月1日から平成27年6月30日まで、安衛則改正省令附則第3条第2項)

 上記2の[1]、[2]の者は、平成26年7月1日以降は、平成27年6月30日までの間に行われる都道府県労働局長の定める講習(技能特例講習)を修了しないと鉄骨切断機等の

運転の業務に就けないこととなりましたので、できるだけ早く受講させてください。

補足事項

(1) 車両系建設機械(解体用)運転技能講習(以下「解体用技能講習」という。)は、ブレーカを対象としたものから、ブレーカ及び鉄骨切断機等の4機種を対象としたものに変わります。(平成25年7月1日)

(2) 講習内容が充実したことにより、講習時間は改正前の35時間から改正後は38時間となります。また、整地・運搬・積込み用及び掘削用の技能講習を修了した者に対する特例の講習の時間は、改正前の3時間から改正後は5時間となります。(詳細は次ページを参照ください。)

(3) 改正前の解体用技能講習を修了した者は、平成25年7月1日以降も引き続きブレーカの運転業務に就くことができます。

(4) 技能特例講習の種類は、資格、経験に応じて4種類です。 (詳細は次ページを参照ください。)

(5) 国土交通省資格の建設機械施工技士の方も鉄骨切断機等の運転に当たっては、講習の受講が必要です。 (詳細は次ページを参照ください。)

4 3トン未満の鉄骨切断機等の運転の業務に就かせるときの特別教育(安衛則第36条第9号)

平成25年7月1日以降に、3トン未満の鉄骨切断機等の運転の業務に労働者を就かせるときは、改正された安全衛生特別教育規程の教育科目、範囲及び時間に基づく特別教育を実施してください。

補足事項

(1) 小型車両系建設機械(解体用)運転の業務に係る特別教育(以下「小型解体用特別教育」という。)は、ブレーカを対象としたものから、ブレーカ及び鉄骨切断機等の4機種を対象としたものに変わります。(平成25年7月1日)

(2) 教育内容が充実したことにより、教育時間は改正前の12時間から改正後は14時間となります。

(3) 改正前の小型解体用特別教育を受けた者は、平成25年7月1日以降も引き続き機体重量3トン未満のブレーカの運転業務に就くことができます。

(4) 改正後の小型解体用特別教育の講習科目及び時間は次のとおりです。