第13章  鉄道付近での工事

参考資料

鉄道付近での工事.pdf 農林水産省.ホームページ  

第13 章 鉄道付近での工事

第1節 事前協議及び事前調査

1.適用

線路に近接して列車運転に影響を及ぼすおそれのある土木工事に適用する。

なお、鉄道の線路内で土木工事を施工する場合は、鉄道事業者と十分協議のうえ、その指示に従うこと。

2.事前協議

軌道敷内又は、軌道敷に近接して土木作業を施工する場合で、列車運転及び旅客公衆に危害を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ鉄道事業者と協議して、次の事項について、協議書・覚書等を取り交わすこと。

@ 鉄道事業者に委託する工事と範囲の決定

A 工事施工のための、詳細な施工計画及び事故防止対策

B 工事施工の順序及び方法、並びに作業時間等に関する規制と、その規制を実施する為の具体的な方法

C 工事施工に支障のある鉄道施設の移設並びに防護方法に関する事項

D 安全確保のための有資格者の配置及び鉄道事業者の立会いの範囲

E 列車運転等の安全並びに鉄道諸設備の保全に関し必要な事項

F 鉄道運転及び、旅客公衆の安全並びに危険があると認めた場合等の緊急措置の方法

G 保安及び保全に関する安全教育の内容

3.変更時の再協議

事前協議により決定された事項に変更の必要が生じた場合、並びに疑義が生じた場合等は、鉄道事業者と再協議すること。

4.事前調査

(1) 第1章第2節事前調査に準ずること。

(2) 鉄道付近の工事における事前調査は、特に次の事項に留意して実施する。

@ 工事が列車運転によって制限される場合は、運転状況を調査すること。

A 工事施工地域付近の路線と道路との関係及び鉄道の運行計画、道路の交通量等を調査すること。

(注) 営業線工事保安関係標準仕様書(在来線)の適用範囲は、次の場合にも適用する。
(1) 工事用重機械の転倒、傾斜、吊荷の散乱及び立木伐採等により、施工基面幅あるいは沿線の電線路、ケーブル等を支障するおそれのある場合、並びに火薬を用いる工事で爆破の際、岩石等が飛散し列車の運転保安に支障するおそれのある場合。

   (2) 変電所、信号所、送電線、信号ケーブル等列車の運転保安に関係する諸設備に近接して施工する工事で、それらに支障するおそれのある場合。

   (3) その他、前各号以外で、列車の運転保安又は旅客公衆等に危害を及ぼすおそれのある場合。

第2節 近接作業

1.施工計画

第1章3節施工計画に準じること。

2.鉄道付近の工事における留意事項

鉄道運転に支障を及ぼすおそれのある工事では、作業時間、作業場所、作業人員、使用機械、使用資材等を十分検討のうえ、施工計画を作成し、本章第1 節に述べた鉄道事業者との事前協議を行うこと。

3.保安体制の確立及び安全施設

事前協議によって定められた保安体制の確立及び有資格者の配置並びに安全施設(路線立入禁止柵、架空線防護工、落下物防護工等)等の設置を行った後、工事に着手すること。

4.保安教育

鉄道付近の土木工事従事者には、鉄道に関する建築限界、架空線、地下埋設物、列車運転状況、緊急時の措置等について、必要に応じて事前に適切な指導教育を行うこと。

5.作業責任者

それぞれの作業毎の作業責任者を定め、その指揮のもとに作業を行うこと。

6.毎日の作業内容の打合せ

(1) 毎日の作業内容について、保安打合せ票等を作成し、鉄道事業者の立会者と事前の協議を行うこと。

(2) 打合せ票に決められた事項は、毎日作業開始前に作業員全員に周知徹底し、決められた事項を遵守すること。

7.列車見張員

列車見張員を必要とする作業には、作業開始前に鉄道事業者の指定する資格を有する列車見張員を配置するとともに、所定の保安設備を設置すること。

8.鉄道建築限界の明示

必要な箇所には標識テープ、表示杭等により鉄道建築限界を示すこと。

9.地下埋設物・架空線の取り扱い

(1) 地下埋設物については、確認のうえ注意標等を設け、施工により損傷のおそれがある場合は、鉄道監督員等の立会いのうえ施工を行うこと。

(2) 架空線に接触のおそれがある工事の施工にあたっては、架空線の防護工を設置し、架空線と機械、工具、材料等は、安全な離隔を確保すること。

10.工事用重機械等の運転資格と管理

工事用重機械及び工事用自動車は所定の資格を有する者に運転操縦及び誘導をさせ、事故防止上適切な管理を行うこと。

11.列車通過時の一時施工中止

列車の振動、風圧等によって不安定な状態となるおそれがある工事又は乗務員に不安を与えるおそれがある工事は、列車の接近時から通過するまで一時施工を中止すること。

12.既設構造物への影響調査と報告

既設構造物、施設等に影響を与えるおそれのある工事の施工にあたっては、鉄道事業者等の指示により異常の有無の検測し、報告すること。

13.線路内への立入り

(1) 線路内にはみだりに立ち入らないこと

(2) 鉄道事業者の承認を得て、やむを得ず線路横断をするときは、指差称呼して列車等の進来を確認し、線路に対して直角に横断すること。

14.軌道回路の短絡防止

自動信号区間におけるレール付近では、電導体(鉄筋、コンベックス等)が左右接触することにより発生する軌道回路の短絡事故(片側のレールに触れるだけで電位差による短絡もある。)に留意すること。

15. 緊急時の対応

(1) 万一事故が発生した場合又は、発生するおそれがある場合
は、直ちに列車防護の手配をとるとともに速やかに関係箇所に連絡し、その指示を受けること。

(2) 緊急連絡表は見やすい場所に掲示しておくこと。

第3節 各種作業

1.仮設工等
(1) 線路に近接して工事事務所、休憩所、材料倉庫等の仮設を行う場合は安全、堅固にし、絶対に建築限界を侵さないこと。特に暴風雨、天災のおそれのある場合には厳重に点検し、不良箇所等は改修又は補強をすること。

また、シート等が飛散しないよう留意すること。

(2) 線路に近接した足場の組立解体は、作業方法、作業量を定め列車運転状況を確認し、安全な列車間合いに行うか、又は線路閉鎖工事で行うこと。

(3) 足場、控え綱、切ばり等を取り付ける場合は、レール・まくら木、橋けた、電柱等の鉄道施設物を利用しないこと。

(4) 架空線等に接近して仮設作業をする場合は、架空線と取扱材料の必要な離隔を確保する為の措置を講じること。

(5) 乗降場等に接近して設置する仮設通路等の仮設物は、特に旅客公衆等の安全確保のための措置を講じること。

(6) 路線、道路等に物が落下するおそれがある場合は、落下防護網等を設け、落下物による事故防止を図ること。

2.くい打ち工

(1) 地下埋設物に接近して杭を打ち込む場合は関係者の立会いで作業を行うこと。

(2) 杭の打ち込みにより、レールに変状を起こさないよう措置を講じること。

3.掘削

(1) 掘削作業に先立ち地下埋設物の有無について鉄道事業者と打合せ、地下埋設物は、試掘により確認すること。

また、地下埋設物の付近は人力により慎重に作業を行うこと。

(2) 掘削箇所に接近して鉄道施設物がある場合は、十分な防護措置を施すこと。

(3) 掘削に伴って発生する周辺の地盤沈下の測定を行うこと。特にレール及びその周辺地盤の沈下の測定は所定の頻度で行い、鉄道事業者に報告すること。

また、特に地下水が高い砂層又は軟弱地盤を掘削する場合は、ボイリング、ヒービング等の発生に注意する他、周辺地盤の沈下防止に努めること。

(4) 重機械を使用して掘削する場合は、路線方向へ旋回しないこと。

4. 切取・盛土工事

(1) 路線に接近して切取又は盛土工事を行う場合は、土砂崩壊、落石等により列車又は鉄道施設等に危害のないよう適切な線路防護工を設置すること。

(2) 切取又は盛土土砂が多量な場合は、一回当たりの掘削量は、運搬能力に応じた量とし、発生土は線路側に置かないようにして建築限界を侵さないこと。

(3) 降雨による法面等からの流失土砂等が線路内に流入しないよう措置を講じること。

5. 型枠工・鉄筋工・コンクリート工

(1) 線路付近の作業に当たっては、工具、材料、仮設材等が、鉄道建築限界を侵さないこと。

(2) 型枠材等は、仮置、組立、解体中に突風等で線路内に飛散しないよう厳重な管理を行うこと。

(3) 架空線に接近した作業に当たっては、架空線と安全な離隔を確保すること。所定の離隔を侵すおそれのある場合は、架空線の防護工を設置すること。

(4) コンクリートポンプ車のブーム及びホースが旋回時の振れ等により、架空線に触れたり、建築限界を侵したりしないこと。